調布の弁護士による相続・遺言・遺産分割のご相談[調布くすのき法律事務所]

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遺留分と寄与分について

遺留分と寄与分に関してはいくつかの論点があります。

① 遺留分減殺請求に対して、寄与分の主張ができるのか。
② 遺留分を侵害する結果となる寄与分の額を定めることができるのか。
③ 寄与分に対する遺留分減殺請求はできるのか。

以下にまとめてみます。

① 遺留分減殺請求に対して、寄与分の主張ができるのか。

例えば、亡くなった父からバトンを受けて事業を盛り立ててきた長男に対してすべての財産を相続させる旨の遺言がなされた場合、兄弟が遺留分減殺請求をしてきた場合に、亡父の事業に貢献したことを理由に寄与分の主張はできるのでしょうか。

結論:主張することはできません。

確かに、亡くなった方から遺贈・贈与を受けた方の中には、生前のつながりが強かった方もいらっしゃり、遺産分割協議においては寄与分の主張が可能なケースもあります。

しかし、条文上の根拠がないことから、遺留分減殺請求に対する寄与分の主張はできないと解されています。

請求を受けた側からすれば納得がいかないかもしれませんが、すでに遺贈・贈与を受けています。相続人にとっての最低限の取り分を確保するという遺留分制度の存在によりこれを甘受せざるを得ないのです。

遺留分を侵害する結果となる寄与分の額を定めることができるのか。

遺産分割協議・調停・審判において、特定の相続人の寄与分を認めるに際して、他の相続人が遺産分割によって取得する財産が遺留分額を下回る結果となるような寄与分を定めることができるのか。

結論:できる。ただし遺留分への配慮が必要。

寄与分の額に上限の定めがないため、遺産分割の結果、他の相続人の取り分が遺留分を下回る内容の寄与分額を定めることも可能です。

もっとも、裁判例(東京高決平成3年12月24日)では、「確かに、寄与分については法文の上で上限の定めがないが、だからといって、これを定めるにあたって他の相続人の遺留分を考慮しなくてよいということにはならない。・・・寄与分を定めるにあたっては、これが他の相続人の遺留分を侵害する結果となるかどうかについても考慮しなければならないというべきである。」と判示しており、遺留分への配慮が必要であるとしています。

寄与分に対して遺留分減殺請求はできるか。

結論:できない。

遺留分とは、亡くなった方の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人(遺留分権利者)に留保されていて、亡くなった方による自由な処分(贈与・遺贈)に対して制限が加えられている持分利益をいいます。民法上、亡くなった方が主導的に行える贈与・遺贈は対象とされていますが、寄与分については対象とされていません。

寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者があるときに、相続財産の中からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして、相続分算定の際に評価する制度です。

寄与分は、亡くなった方の主導で行われるものではなく、協議・調停・審判において決定されるものです。これらの手続で決定された寄与分について事後に遺留分減殺請求で覆されては、法的安定性を害する結果となってしまいます。

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