事案の概要
資産家の父が亡くなり、母と子ら2名(計3名)を相続人として相続が開始。依頼者である母は、法定相続分での分割を希望していたが、子供のうちの1名(相手方)が事業を行い資金繰りに困っていた事情があり、今回の相続で法定相続分を上回る分割を希望。相手方は、「どうせ母が亡くなれば半分は自分のものになるのであるから、先に渡してくれてもいいではないか。」と主張。
依頼者は相手方の意向に理解は示したものの、自身の死後、兄弟間で争いになることを懸念したため、来所に至る。
解決方法
本件のように、一次相続である父の相続において、父母死亡時の相続財産を念頭に入れて分割協議を行い、一部の相続人が先だって多くの財産を獲得することも散見される。
この場合、二次相続の被相続人である母は、兄弟間の公平を図るため、全ての財産を取り分の少なくなった子に相続させる旨の遺言書を作成するのが通常である。しかし、懸念されるのは、相手方の遺留分減殺請求である。
この懸念を払拭するために、一次相続の遺産分割協議成立前に、相手方に対して二次相続における遺留分を事前に放棄させるよう働きかけることが行われる。本件でも、上記のとおり助言した。
当方は、依頼者の了解を受けた上で、相手方の遺留分放棄許可審判の申立書を作成して家庭裁判所に提出。家庭裁判所の審判を受け、相手方の意向を酌んだ遺産分割協議が成立。