質問
弁護士に遺産分割の依頼をしています。当事者間での合意ができないため、遺産分割調停の申立を勧められています。遺産分割調停は、どのように進められるのでしょうか。
回答
遺産分割調停は、相手方となる相続人の1人の住所地を管轄する裁判所に申し立てを行います。
例えば、あなたが稲城市にお住まいで、他の相続人が世田谷区に住んでいる場合には、相手方の住所地を管轄する東京家庭裁判所が管轄となります。
以下では、東京家庭裁判所家事第5部で調停の進行について説明します。
調停が始まると冒頭に
「遺産分割調停の進め方」
(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/isanbunkatu_no_susumekata.pdf)というものが示され、手続の概要の説明を受けます。
以降、これに従い、①~⑤の順序で調停が進行します。
①相続人の範囲の確定
相続人の範囲については、戸籍調査により申立時点で明らかになっているため、あまり問題にはなりません。
相続人の一部に判断能力に問題のある方がいらっしゃれば、成年後見人等の選任を検討することもあります。
②遺産の範囲の合意
被相続人が死亡時に有していた財産で現存するものが遺産分割の対象となります。
例えば、申立人が正確には把握していない被相続人所有の高価な動産類については、相手方の協力の下リストアップをして、申立時の財産目録に加えていくことになります。
遺産の範囲の合意ができなければ、下記手続に進むことができないため、調停委員から、遺産の範囲の合意は第3回調停までに行う等の進行予定が示されることもあります。
なお、相続開始前の使途不明金(預金口座からの引出等)に関しては、原則として遺産分割調停の対象にはなりませんが、当事者双方が一定の合意をすれば、これを前提に調停を進めることができます。
③遺産の評価の合意
例えば、不動産の評価であれば、当事者双方が持ち寄った査定書の平均値で合意を行うことが多いです。
合意が成立しない場合には、裁判所に費用を納めた上で、不動産鑑定士による鑑定が行われます。
④各相続人の取得額の合意
②③で評価が決まった遺産につき、法定相続分による取得額決定します。
特別受益・寄与分が認められる場合には、取得額を修正します。
⑤遺産分割の方法の合意
当事者の意向を踏まえて、具体的な分割方法を決定します。