事案の概要
幼少時に両親が離婚した依頼者は、長年、実父とは音信がなかった。税務署からの通知により、実父が亡くなったことを知った。その後、戸籍等をたどり調査を進めたところ、実父は事業に成功し多額の財を形成したことが分かった。
依頼者が唯一の相続人であったが、実父が内縁の妻に対して全ての財産を遺贈する旨の公正証書遺言を作成しており、内妻がすべての財産を取得したことが判明した。
また、その後の調査で、実父の死亡直前に多額の資金が内妻に渡ったことが判明したが、内妻は、「遺言に従い死亡時の少額の財産の遺贈は受けたがそれ以外は受け取っていない。」「実父からは業務を委託されており、死亡直前に受け取ったお金は未払の報酬を受け取ったものであり、生前贈与にはあたらず遺留分減殺の対象にならない。」などと主張した。
解決方法
受任当初は当事者間での交渉を行ったが、死亡直前の金員の動きの主張に開きが大きかったため、調停を申立。
調停では、報酬の根拠資料の提示を求めたが、内妻は提出しなかった。当方が関係者から実父の死亡直前の生活状況や内妻との関係を確認したところ、報酬を支払う理由は見当たらなかった。そこで、死亡直前に移動した財産も含めて依頼者の遺留分を計算すべきと主張した。
調停委員会も当方の主張に理解を示し、当方寄りの調停条項案を提示した。相手方がこれを受け入れ、依頼者も納得の遺留分の弁償金を取得した。