遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年で時効により消滅します(1042条前段)。
時効の起算点について
単に、相続の開始及び贈与・遺贈があったことを知っているだけでなく、その贈与・遺贈が遺留分を害するものであることを知ったときが起算点となります(大判明38.4.26等)。
したがって、例えば、贈与・遺贈の事実を知っているが、遺産が方々に分散していたため、その確定に時間がかかったような事案において、遺留分が侵害されていることを知らなかった場合には、消滅時効は進行しません。
遺留分減殺請求権は、相続開始時から10年を経過すれば消滅します(1042条後段 除斥期間)。
なお、遺留分減殺請求権を行使した結果生じた目的物の返還請求権は、消滅時効にかかりません。なぜなら、同条の期間制限に服するのは遺留分減殺請求権だけであり、請求権行使の結果生じた物権的請求権が時効にかかることはないからです。