- 母が亡くなった。四十九日後に、母と同居していた姉から遺言書の写しが送られてきた。内容は、姉にすべての財産を相続させるものであった。何か権利を主張できないか?
- 自分の取り分が少なすぎて遺言書の内容に納得がいかない。
本来、亡くなった方は、遺言や生前贈与等により自身の財産を自由に処分することができるはずです。他方で、残されたご家族の生活保障、資産形成に貢献した点を全く考慮しないのはバランスを失します。
亡くなった方の財産処分の自由と相続人の保護のバランスを図ったものが遺留分制度です(民法1028条以下)。
遺留分とは、亡くなった方の財産のなかで、法律上その取得が一定の相続人(遺留分権利者)に留保されていて、亡くなった方による自由な処分(贈与・遺贈)に対して制限が加えられている持分利益をいいます。
これに対して、遺留分に属さず、亡くなった方の自由な処分にゆだねられている部分を自由分いいます。
相続人の遺留分を侵害する遺贈・贈与がなされても、このこと自体で遺贈・贈与が無効になることはなく、単に遺留分減殺請求をなしうるにとどまります。民法は遺留分権利者による遺留分の主張を各遺留分権利者の自由意思に委ねています。