ここでは、生命保険金と死亡退職金について簡単に触れておきます。
生命保険金について
生命保険契約において、被相続人が自らを受取人と指定していた場合は、生命保険金は問題なく遺留分算定の際の基礎財産に含まれます。
他方で、第三者が受取人に指定されている場合については争いがあります。前提として、生命険金が相続財産を構成しないという結論に異論はありませんが、第三者を受取人と指定することは、贈与に類似する無償処分であることを考慮すると、基礎財産に含まれるのではないかが問題となります。
しかし、判例(最判平14.11.5)は、保険金請求権が受取人固有の権利であり、被相続人から承継取得するものではないこと等を理由に、「自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は、民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく、これに準ずるものということもできないと解するのが相当である。」と判示しています。
死亡退職金については、遺族の生活保障を目的とするものであるため、遺留分算定の際の基礎財産への算入を認めないのが相当とされています。